【仕事】産業材2~思いっきり筆者個人の感想~

産業材 前回の続き前回のブログで「産業材の商流には多くの商社が介在する」事を述べた。川下にいけばいくほど商社の役割は「与信」「手形など支払い代行」「在庫・配送」機能に特化していく、とも述べた。

これがご存じの通り「インターネット」の登場で崩壊しつつある、と感じている。

 

1.筆者が感じている変化

アマゾンに代表されるように、産業材にも「中抜き」となる商流ができつつある。また、産業材の特徴として「従来の取引先を頻繁には変えない」事もあげられるが、インターネットの普及で「価格体系がどこにもオープン」となってしまい、従来通りの値決めができなくなりつつある。

産業材についてはその殆どに明確な定価は無く、従来の取引先を重視した価格体系で構成されてきた。

価格の情報は常にトップシークレットであり、すなわち情報として流通しておらず、同時に「メーカーから安価を引き出せる」事そのものが商社の強みであり、存在意義でもあった。(もちろん、長年にわたる取引年月からそのような価格でのやりとりになるのだが。)

しかし例えば製造業など、あらゆる製品が成熟し、なおかつだれでもどこでも情報を入手出来るようになった今、もはや過去の常識は通用しない。

成熟している市場は尚更で、少なくとも何十年も取引されている商材は価格が底値であり、どこで購入してもたいして変わらないという事態になりつつある。

このような環境下で飛躍的な成長を続ける企業はだいたい総じて「過去のタブーをクリアした」企業であると、筆者は考えている。

例えばアパレルで言うと、ゾゾタウンである。本で言えばアマゾン、製造業での代表的な産業材ではミスミなどがあげられる。

・従来ながらの商流は活用しない。

・ITやホームページを駆使する。

・時間を価値と考える(短納期対応)。

・かゆいところに手が届くサービス満載

今の産業材に携わっている業者がおおよそ順守していない要素を全部満たしている。『いや、うちは納期だけは守るし早い』と言っても、さすがに上記の会社には遠くかなわないだろう。

正直、皆この事態に気付いている。気づいているが、動けない、変われない会社が大半だ。

変えるのは非常にパワーがいるので皆やりたくないのだ。

先日、別のブログ記事(アパレルのTOKYO BASE)で記載した本「誰がアパレルを殺すのか」に興味深い書き方で記載されていた。

「そして業界全体で儲からなくなり、ダメになってしまった」 

結局、変われる企業だけが生き残っていった典型例だ。アパレルはもうそのように業界そのものがチェンジしたが、産業材はどうだろう。


2.筆者が感じている今後

ただし、日本の産業材(繰り返し言うが、主に製造業)の構造はすぐに大きく変化する事は無いだろう。コンシューマー(一般消費者)では劇的に、すぐに変化していくのにどうして産業材だけはゆっくりなのか。

それは「産業材は難しい」からだ。

例えば「食品を加工する機械」を例に考えてみる。機械には金属や樹脂と言った素材、各素材から作られる部品、電源、ソフトウェアなど多種多様な産業材で構成されている。それら一つ一つは独自の技術であり、一般的に誰しも知りえている製品ではない。また、当然であるが個別の製品には個別の「性能」があり、それらの性能を理解したうえでないと最終的なユニットである「食品を加工する機械」は組み上げる事ができないのだ。金属一つとってもその種類は何百何千とあり、性能が違うため、一般の人が全てを理解してユニットを組むことなど不可能である。それらは商流の中で昇華され、洗練されている。

似たような素材、似たような部品では狙った性能は出ないのだ。

それゆえ、産業材については各素材や部品、ユニットに対して熟知した営業が必要であり、それらをアレンジしてくれる商社は今のところ不要と言うことにならない。

1.の例であげた「ミスミ」のように、商社が実施していること(営業)をインターネット上で全て解決できるのであればそれこを商社は不要となるが、そこまで出来るメーカーはそうそう存在しないし、恐らく今後もすぐに出現する事はない。

「そこまでやったほうが良い」事がわかっていても資金的に困難だったり、なによりアイディアや発想をまとめて昇華させるだけのパワーとリーダーシップを大手企業がそうそう持ち得ているものではない。

それゆえ、先んじたものだけが最終的に大きな利益を得られるのではないか、と感じている。事実、ミスミはメーカーにしてはかなり利益率が高いし、使用しているユーザーからの評判や認知度も抜群だ。仕組みで勝っている典型例である。

中小規模、中には大手の商社まで「ミスミはズルい」だの、「アマゾンはズルい」だの言う人がいるが完全にお門違いである。文句や愚痴を言うべきはその相手ではなく、内部に対して言うべきだ。そもそも仕組みで負けている時点で、正攻法での対抗は無謀だ。同じ方法では勝てない。

現場で商品を選んで買う人ほど、その点よく知っているし、ある意味ドライだ。

少なくとも今後は人情だけのつながりでは商売は成り立たない、と筆者は考えている。

必要なことではあるが、十分ではない。ある講習会に出たとき、コンサルタントの人が言っていた事で今でも印象に残っている言葉がある。

品質・価格・納期、これらの3要素全てが負けていたらどうやっても勝てません。勝負するのをやめましょう。」と。いい得て妙な言葉である。ここでのポイントは「3要素全て」である点だ。一つでも勝っていればまだチャンスがあるとも解釈出来る。ただし、3要素が劣っていればもう勝負にすらならない。筆者はそのような場面に遭遇した場合はすぐさま撤収する作戦にでる。

すぐに商売は無くならない、だが何もしなければ「ゆっくり死んでいく」・・・そんな時代になっていくと思う。

次回以降は普通にルートセールスについて書きます。(^o^)

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